都内S区で江戸時代から地主業を営んでいるS様がいます。コロナ時に借地権付き建物を買戻しし、民泊運営会社に賃貸していました。本年の6月に運営会社から、トイレの水の流れが悪くなったとの知らせがありました。運営会社がTVCMで有名な水処理会社に依頼してみてもらったところ、排水桝が詰まっているのではないかとの報告を受けました。ほぼ同時に隣接地の方(法人)から民泊運営会社に対し、「汚水が漏れ出している」旨の報告がありました。
知り合いの解体会社から紹介された水道工事会社K社とともに、現地を訪問して調査しました。当該建物は前面道路から20M以上も奥にある旗竿地に存しており、通路には5つの枡が存在しています。各枡の蓋を開けたところ、道路から遠いところにある2つの枡が汚物で溢れており、一つは蓋が破損していました。後日、K社は枡の詰まりを解消するための清掃を1日がかりで行い、破損蓋も新品に交換しました。隣接地の法人の担当者にも立ち会っていただき、これで汚水の流失はないだろうと安心していました。
ところが1週間も経たないうちに汚水が隣地法人の敷地に漏れ出している動画が送られてきました。予期せぬ出来事に呆然とし、K社の担当者に送信し、再度現場を確認しました。蓋が開かなかった枡の蓋をこじ開けたところ、汚物であふれ、そこから汚水が流れだしたようです。いったん汚物を出した後に、水道水で枡を満タンにしたところ、水が隣接法人の敷地に流れ出すことが確認できました。K社の担当者によると、枡内の目地モルタルが劣化していたため、そこから水が流失したとの診断でした。
後日、枡の目地をモルタルで固め、また枡と枡の間の排水管の傾斜を調査して、排水管の位置を上げたり、排水管そのものを交換したり、陥没している枡間の土間を撤去して再構築する等の大がかりな工事を約3週間実施いたしました。最後は汚水で汚れた隣接法人の土を搬出して新しい土を搬入し、さらに除染を行いました。合計で約1か月かかりました。
当該建物は築57年と古く、それが今回のトラブルの原因とも思われましたが、他に原因がありました。キッチン下からの排水管とトイレ及び浴室が合流する枡がありますが、そこにはスパゲティや食品残渣が多数見受けられました。当該建物にはディスポーザーがついていませんが、民泊の利用者である外国人は自国の感覚で、食べ物を流し込んでしまったと推察されます。5年分の残渣が堆積して詰まってしまったことが、今回の騒動の原因だったと思われます。
民泊と言えば、騒音やゴミ出しのトラブルをよく聞きますが、意外な伏兵が潜んでいました。地主の皆様も民泊運営においては、食品残渣の処理に気を使っていただくことをお勧めいたします。

