地代の値上げ基準

 地代の値上(下)げを請求するには基準があることをご存じでしょうか?!
 借地借家法にかかる土地賃貸借においては、土地賃借料(地代)が近隣の駐車場の賃借料と比較して非常に安価であるとか、“最近新たに貸付けた土地(建物敷地)の賃料が当該賃料の2倍乃至3倍であるとか、”そのような理由で、その土地に比準して賃料を算出し、請求することはできません。
このような駐車場とか新規に貸し出す時の宅地の賃料は、自由契約における合意賃料であることから、新しく決める賃料=“新賃料”と云います。一方、借地借家法における土地の賃料は、契約開始時等においてその使い方等に応じて、合意によって決められた賃料であることから、新規賃料に対して “継続賃料”と云います。
この“継続賃料”は、新規賃料のように勝手に決めることはできません。
“継続賃料”の改定に当たっては、「借地借家法11条1項」に改定基準が明記されています。(下記「条項・本文参照」)
簡単に言いますと、最終合意賃料(最後に合意により決められた賃料の時点)から改定時点の地価・経済の変動、公租公課の増減額、近傍類似地の賃料との比較において、不相当となったとき、賃料(地代)も増(減)額を請求ができるとしています。
それでは、地価が2倍に上がったから、地代も2倍に値上げできるか?決してそのような計算にはなりません。賃料(改定)にあたって、折り合いがつかない場合、継続地代の鑑定を行うことになりますが、(物価)スライド法、利回り法、賃料事例比較法を採用して算出します。物価スライド法は直接物価の影響が反映されますが、地価の評価が2倍となったからと云って、賃料(地代)を2倍にできるものではありません。
 しかしながら、地価の上昇は地代の値上げファクターである公租公課(固定資産税+都市計画税)に影響(増額)を及ぼすこととなります。また、この数年上昇を続ける物価に対して賃料のみが据え置きとなることは、実質賃料(価値)が目減りしていることになります。固定資産税納税通知書において、公租公課がかなり上がってきたな、或いは長年地代が据え置きとなっていたことから、そろそろ見直しが必要であると考えになられましたら、当方にご相談を賜りますよう、お待ちしています。

継続地代の値上(下)げ請求条項

「借地借家法11条(第1項)」において規律されています。

地代または土地の借賃(地代等)が「土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、又は近類似の土地の地代等に比較して不適当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

と定めています。

【継続地代の算定手法】

 継続地代の算定方法は、「スライド法」、「利回り法」、「差額配分法」、「賃貸事例比較法」、「公租公課倍率法」等があり、各状況に応じて、算定方法を選択して、算出します。
×積算法(新規地代で採用)

スライド法:

従前の地代に物価等の上昇率を乗じて算出

利回り法:

底地価格に期待利回りを乗じて、必要経費を加えて算出

事例比較法:

近傍類似の土地の地代相場と比較して算出

差額配分法:

経済価値に応じた適正地代と実際に支払われている地代との差額を地主・借地人とで配分し、前者の分を従前の額に加えて算出

公租公課倍率法:

固定資産税と都市計画税の合計額の〇〇倍との取り決めにより、以降の改定も公租公課の増減(3年に1度)によって改定する方法

更新料の基準

 更新料を請求しても“法的根拠がない”と拒否する借地人も中にはありますが、大多数の地主は、期間満了における更新料として、借地権価格の3%~10%の請求をし、合意更新に至っています。
 更新料を拒否して法定更新となっても居住の継続には問題はないと考えますが、将来、借地人において建物の増改築または借地権の譲渡等を検討する事態も想定されますので、この辺りの事情を説明しできるだけ合意更新(更新料の支払における契約作成)に向け、話し合いをすることが借地人・地主双方に必要なことであると考えております。
 なお、一般的に地主が提示する更新料に計算根拠はありません。(だからこそ、借地人を納得させるには根拠(計算)等を明示すべきと考えております。
地主は、土地(所有権)を持っているだけで、所有・収益化する権利は賃借人が持っています。地主によっては土地を収奪されたという感情を持つ方もいらっしゃいます。
ここ数年は、公租公課の増額、物価上昇が顕著となっています。このような時期に地代を見直すのも適正な管理をするうえで、必要なことだと考えています。
一方、ここ数年、不動産業者が底地を購入し、高額の地代、更新料を要求するケースが増えています。これは地主が本来適正な管理をされていれば、起こりようのない事案だと当方は考えます。確かに、将来の相続税を考えると、ここで、貸宅地を一括で整理(換金)すれば、相続税の心配はいりません。しかし、折角これまで地主・借地人との関係が円満で将来において補完できるような関係が維持されていたのであれば、底地の維持は地域社会において、必要なことではないでしょうか?!
 そこで当相談室では、契約の始期の状況(権利金の授受)、地代の水準(差額地代等)の検証、現契約書の内容を吟味し適正な更新料を算出するサービスメニューを構築しました。
 どのような計算根拠で、更新料を請求されるか検討中の地主さんに於かれましては、一度、当方にご相談を賜りますよう、お待ちしています。