地代がとても安く、固定資産税の2倍にも満たない額です。借地人に地代の値上げを御願いしているのですが、拒否されています。何か方法はないでしょうか?

 まず、借地人本人が適正な地代を支払っているかの認識を確認しておいた方がよいでしょう。
 例えば、借地組合等の後ろ盾があって、固定資産税等の2~3倍程度の地代を支払っていれば十分であると窘められている場合は、借地人に対して現在の地代がいかに適正でないかを説明することが肝要です。そのためには、固定資産関係証明書や納税通知書の写しを借地人に渡し、固定資産税額・都市計画税額(以下公租公課)を明示することが大切です。日税不動産鑑定士会の調査によると、平成18年の東京23区における地代の公租公課に対する平均倍率は住宅地、非住宅地とも4.1倍と公表されています。
 それでも、適正な地代について論争になる場合には、第三者による簡易鑑定を提案しては如何でしょうか。地代の総額と比して費用負担が大きくなることもありますが、底地が当該地以外にも存在している場合は、スケールメリットを得られますし、地域的な解決につながる可能性もあります。また、地代の話にとどまらず期間満了時における更新料を以ての清算や増改築承諾、万一の時の名義変更承諾と絡めて話してみると、調整が有効に働く可能性もあります。借地人が年金暮らしの独居老人である等の事情で地代支払いに窮している場合などは他の方法も検討すべきでしょう。


【東京都23区における3.3㎡当たり平均地代月額の推移】 
 (日税不動産鑑定士会の調査による)

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