貸している土地上の借地権付き建物が競売されることが決まりました。今までの借地人は地代を1年以上滞納していますので、借地権が存在していないことを主張したいのですが、認められるでしょうか?

 既に1年以上の地代滞納があるということですが、地代の催告と解除通知はなされましたでしょうか?地代が滞納になっているだけでは、借地権が消滅したとはみなされません。
 また、借地人が競売の発端となった建物にかかる金融機関からの抵当権設定等承諾書に署名捺印された記憶は御座いませんでしょうか?これには"地主殿への支払うべき地代等の遅滞があった場合の通知と万が一の時の債権者における代払いの許可が謳ってあります。"このような約束がない場合には、すぐに地代の催告と契約解除をなされた方がよいでしょう。
 競売が決定すると売却基準の価格を算定する為に、現在の賃貸借の状況等について"お訊ね"があり、この調査された内容が書記官により報告書として記載され、評価人が行う基準価格の評価については契約解除になっている場合、これを参酌して評価に反映されることになります。何より書記官による意見書が契約解除されているかどうかは大きな影響があります。
 最後に借地権が存在しているかどうかについてですが、現借地人は何れ競売によって建物を失うわけですから、借地権の保全をする必要はありませんので、調停によって借地権が存在しないことや土地の明け渡しについて和解することは可能です。しかし、融資金融機関等の債権者は借地権が存在しないと担保保全ができませんので、彼らとの間で裁判等によって借地権の存在を争うことになります。