a.借地権者と建物名義人が一致しているか?
土地の賃貸借契約書の契約者と名義と建物の登記簿謄本の名義が一致しているかを調査する必要があります。一致していても、すでに契約者が亡くなっていて、建物の相続登記が未了の場合には、誰が相続するかを借地権者に決めてもらい、建物を相続登記してもらい、土地賃貸借契約書も新たな相続人と締結することが求められます。法定相続人のうちの誰かが海外に居住している等の理由で相続登記が困難な場合には、借地権付建物を相続する予定である者に借地権等に関する確認書を記入してもらうか、相続人代表者に相続人代表借地権者確約書を記入してもらい税務署に提出する必要があります。
また、同様のケースで①借地権の契約者が親で建物が子供名義や配偶者名義、もしくは②借地権の契約者が親で建物の名義が親と子供などの共有名義になっている場合には、①は借地権者と建物所有者に借地権の使用貸借に関する確認書(その1)を記入してもらい、②は同様に借地権の使用貸借に関する確認書(その2)を記入してもらい税務署に提出する必要があります。
上記の書類を提出する場合には、借地権者から戸籍謄本若しくは固定資産税課税証明書、住民票などの書類の写しを添付して提出することを求められます。
相続登記を行っていない借地権者は少なくありませんので、相続発生後の物納を考えている地主は建物謄本を定期的に調査しておくことが賢明です。
b.土地の利用状況が契約内容と一致しているか
借地権者と締結した土地の賃貸借契約の内容と、実際の土地の利用状況が一致していないことが珍しくありません。例えば、敷地の一部を第三者に駐車場として貸し出されていたり、契約書の条項では非堅固建物と記載してあるのに、実際は堅固建物が建築されていたり、また、知らない間に建物が増築されていたりするなどです。こういった場合には、土地の利用状況を契約書記載のとおりに変更してもらわなければ、なりませんので、物納が極めて困難となります。
c.借地権者との間で係争はあるか
貸地の範囲や数量等に関して地主と借地権者間で係争中の底地は管理処分不適格財産に該当します。しかし、過去に係争があっても物納申請時点で解決していれば、不適格財産に該当しません。